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やい!てめ!アンリ!!

んなろー!フレンチめ!よくも我がアイルランドの行く手を阻んでくれやがったな!
やいアンリ!テメーどのツラ下げて南アフリカ行く気だ!こら!
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それでも泣きながら勝者に拍手を送る潔さと不器用さ、泣かせるねえ(涙)
約2000年前のヨーロッパにケルトと呼ばれる不思議な人々がいた。
めまいのするような渦巻き文様で身を飾り、酒と歌が大好き。ギリシア人ローマ人も一目置く知性と雄弁の持ち主でありながら頑固に文字を使わず極めて勇猛だったがひとたび戦に負けると、どっと落ち込む感情屋。
東欧からスペイン、アイルランドにいたる広大な地域に住み、共通の言語を喋りつつも、部族単位での暮らしにこだわって、国家を形成することはついになかった。


こんな彼等が、冷徹なローマ人の“組織”とまともにぶつかれば結果は
目に見えているだろう。紀元前1世紀には、ローマ帝国に支配され、ケル
ト古来の言葉も文化も急速に失われてしまった。

幻の民となってもケルトの末裔を称する国がひとつだけあった。それがアイルランドだ。ローマ帝国のさしもの長い手も、ブリテン島からさらに西へ海を隔てたこの辺境の島国までは届かずに、ゲール語をはじめとするケルト文化、ケルトの精神を現代に保ち伝えることができた。
「ガリバー旅行記」のスウィフト以下、きら星のような文豪を輩出し、今日またアイルランド音楽が世界を魅了している。
雄弁と歌という、ケルトの得意技は、2000年の時を超えた。
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アイルランドのサッカー協会「FAI」のオフィシャルサイト --> FAI.ie
トップページの「The road to South Africa continues!」の文字が哀しい。


サッカーのビッグゲームには、とかく“神の手”がつきものではあるが、現代はマラドーナの時代とは違うのだ。1つの試合にいくつものカメラが稼働し、高画質ビデオが残り、更にはそれらが YouTubeなどにアップロードされ、たとえ削除されようが、ダウンロードした誰かがそれを公開し、それを見た誰かがまたアップロードして、ということが延々繰り返されるのだ。マラドーナの神の手でさえ、そのビデオはメキシコ大会の対アルゼンチン戦で見せた伝説の5人抜きのビデオと同じか、それ以上に有名になってしまっている。

マラドーナはよくもわるくも伝説になったが、アンリがそうなれるとは限らない。
へたしたら、彼は死んでも汚名と不名誉な映像だけが遺されてしまうのかもしれない。

W杯出場を決めたチームの決勝点をアシストした選手と、W杯出場を逃したチームのディフェンダーが一緒にうなだれてやがる。
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←フランスのアンリ(12)とアイルランドのリチャード(5)→

アンリのヤツ、どうせ「やった」と認めるなら、その時に認めればよかったんだ。

2010年 W杯・南アフリカ大会まで、あと 203日

FUFA.com - The Official Website of the FIFA World Cup


1998年の芸術新潮 7月号「ケルトに会いたい!魂の島アイルランド旅行」から引用して僕の小説に記載した文章を再度引用させてもらった。

by thin-p | 2009-11-19 23:47 | サッカー