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あなたの信念は?(映画:インビクタスを観た)

あなたの信念は?(映画:インビクタスを観た)_c0030705_23434697.jpgあなたの座右の銘は?
あなたの哲学は?
あなたの思想は?
あなたの宗教観は?
あなたの存在意義は?
あなたの絶対的価値観とは?

あなたの信念は?
そして、その信念(心)を支えているものとは、どんなものですか?

そう問われて即座に答えられるものを、僕はいまだに持ち合わせていない。

いや、持ち合わせていないんじゃなくて、それらを簡潔に明瞭に表現し答えることがうまくできない。

いや、できないのではなくて、なんとなくそういうテーマになるとあれこれ説明してしまいたくなり、かなり理屈っぽいものになっていってしまって、逆にとても曖昧なものになってしまう気がしている。

そして結局、自分の本心とは本質的に少しズレたものになってしまう気がする。

心が弱っちくなってる時にはこう言う。
「明るく、朗らかに、生き生きとして、勇ましく」

座右の銘は
「ぜったいになんとかなる!そして、なんともならないこともある!」だ。

好きなフレーズは
「心はいつもヘビーだけど、顔では 大丈夫 大丈夫」と
「ステキなことはステキだと無邪気に 笑える心が好きさ」だ。

好きな詩は イマジン
好きな歌は The Boys Are Back In Town
好きな映画は STAR WARS と Galaxy Quest と …

キリがないし僕はさっきから何を書いているのだろう…(笑)



もう先月の話しになるけど、映画「インビクタス / 負けざる者たち(原題:Invictus)」を観た。
公開されてだいぶなるけど、評判がいいようで上映期間が延長されているし、いろんなところにレビューが上がってたりするから内容は割愛するが、Wikiに掲載されている概要を引用しておくので、ご存じない方はどうぞ。

実話の映画化である。舞台は南アフリカ共和国。1994年、ネルソン・マンデラは27年におよぶ牢獄生活より解放され、同国初の黒人大統領に選ばれた。それまで政府の主要ポストを占めていた白人たちはマンデラが報復的な人事をするのではないかと恐れたが、マンデラは初登庁の日に職員たちを集め「辞めるのは自由だが、新しい南アフリカを作るためにぜひ協力してほしい。あなたたちの協力が必要だ」と呼びかけた。ボディーガードも、黒人と白人の混成チームとなった。
マンデラは、当時は世界的なレベルから見て弱小で、黒人選手も一人しかいなかった(劇中の時代ではチェスタという黒人選手が一人代表入りする)南アフリカ代表のラグビーチーム「スプリングボクス」が国民に不人気であることを知る。廃止・再編成の意見も多かったが、マンデラはこのチームを断固支持することを決意し、ボクスの主将フランソワ・ピナールをお茶会に招いて親しく言葉を交わす。ボクスのメンバーたちも、自分たちが世界的に注目されていることを徐々に自覚していく。
1995年のラグビー・ワールドカップではついに決勝戦進出を果たす。そして強豪ニュージーランド代表オールブラックスを相手に、最後の試合が始まる。

引用:インビクタス/負けざる者たち(原題:Invictus)@Wiki


今年はサッカーのワールドカップの年で、その開催国は南アフリカだ。
南アフリカと聞いて、アパルトヘイトを連想する人はきっともうかなり少なくなっただろうと思う。
“We Are The World”は知っていても、スティーブ・ヴァン・ザントが中心になって展開された“もう1つの USA for Africa”、サンシティを知っている人はもっと少ないだろう。
南アフリカの高級リゾート地サンシティでは連日超高額ギャラで世界中のトップアーティストたちに演奏させ、白人達がそれを楽しんでいたことに真っ向からNOを突きつけ、それこそがアパルトヘイト政策の象徴だとして、俺たちゃ二度とサンシティじゃプレイしねーぜ!とぶち上げたロック・チューンだ。



もう25年も前の話しであり暗い過去でもあるので風化していくのが普通だからそれはそれでいいのだと思う。

あなたの信念は?(映画:インビクタスを観た)_c0030705_23484527.jpgただ、この映画はそういう時代に本当にあった実話が基になっている。

南アフリカにはそのような時代があったことや、主人公であるネルソン・マンデラが大統領就任直前までの27年間、反アパルトヘイト運動の罪で投獄されていたことや、就任直後に南アフリカが自国で開催されたラグビーのワールドカップにホスト国として初出場して奇跡の初優勝を果たしたことも全部事実であり、それらがすべて描かれている。
あなたの信念は?(映画:インビクタスを観た)_c0030705_23485781.jpgもちろん単なるドキュメンタリーでも再現フィルムでもなく、クリント・イーストウッド監督によるオリジナル映画である。

ちなみに、YouTubeで当時のワールドカップやインビクタスにちなんだキーワードでサーチすると、マット・デイモンが演じたラグビーの代表チームのキャプテンのインタビューだとか、当時の記録写真なんかがたくさん見れるのだが、それらを見ると、この映画がとても丁寧に細部に拘って実話を再現したということがよくわかる。

つまり、監督が表現したいものがしっかりと明確に描き出されている。
それは悲しい過去を掘り起こして糾弾しようとか、黒人がどうとか白人がどうとかを世に問うみたいな主旨ではない。と僕は受け取った。


ラグビーのワールドカップを中心に物事が展開していくのでスポーツ感動モノ的な面もあるから、そういうイメージで捉える人もいるだろうし、アパルトヘイト政策によって国際社会から大批判されていた国から、黒人も白人もなくすべてが同胞なのであるという近代民主国家に転換していくドラマとして人種の壁をぶち壊して力を合わせて一点突破していくというヒューマンドラマとして捉える人もいるだろう。

それはそれでいいと思う。
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僕はこの映画を見終わった時に、いちばん上に書いたようなことをあらためて考え始めた。

この映画のタイトルはマンデラ氏が投獄されていた27年間、心の拠り所として、己の魂を鼓舞する“呪文あるいは教典”として持ち続けた詩の題だそうだ。
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彼を支えたのは一遍の詩であった。
その中に彼の哲学も思想も宗教も価値観も信念も幸福も不幸もすべてが詰まっていたのだと思う。
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マンデラ氏の例は極端だけど、唯一じゃなくても、哲学とか宗教とか思想とか、そういう修練や勉強や訓練が必要なものじゃなくても、心を支え鼓舞したり励ましたりしてくれる歌でも詩でも映画でも音楽でも本でも絵でも友でも家族でも、そういうなにかがいつでもそばにあると確信できている人は、人生も運命も変えていけるし救いも助けも癒しも許しも、そして勝利をも引き寄せられるのだと思う。

僕にはそういう何かが結構たくさんあるということに最近あらためて気付いた。
そう、幸いなことに。


いい映画だった。
後味もよかった。

物語のクライマックスシーンは理屈抜きのワールドカップ決勝戦。
その一部始終に熱く興奮した。
ニュージーランド代表のオールブラックスは闘いの前にマオリの戦士の踊りハカで相手を威圧し自らを鼓舞するのも、ゲームの終盤に、優勝を絶対に諦めずに最後まで顔を上げて前に進もうとチームを鼓舞する南アフリカ代表チームのキャプテンが言う台詞も、理屈や意味とかじゃない。

   「聞け!祖国の声を! そうだ!俺たちこそが勝利する運命にあるんだ!」

なにがなんでも絶対に優勝するんだ!俺たちは国の代表として、祖国の誇りをかけて闘わなきゃいけないんだ!この国の、国民の未来がかかっているんだ!

そういう思いと想い、そして使命感が、いまあらためて必要なんだって思う。

イーストウッド監督作品の中では最もエンターテイメント性が高く、サービスも盛りだくさんですごくよかった。
ただし、イーストウッド監督作品だからと、「許されざる者」的に「負けざる者たち」と付けられた邦題以外ね。
う~ん、けど、まあ、確かにそういう内容の物語なんで、まあ、いいっちゃいいんだけど、なんかカッコわるいって感じちゃうんだよね。ま、いっか。
あなたの信念は?(映画:インビクタスを観た)_c0030705_23513426.jpg


あと、余談だけど、「心が折れる」って近頃よく耳にするけど、まぁ確かに言い得て妙なニュアンスではあるとは思うけど、でもやっぱ耳障りだから笑い話の中でとか簡単に軽い感じで使わないで欲しい。

わかっちゃいるけど、簡潔にまとめきれないのが玉に瑕... かしこ

by thin-p | 2010-03-08 00:06 | 映画