情景作家 - 昭和のミニチュア
東京 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 開館10周年企画展「情景作家 - 昭和のミニチュア」展が開催されている。(4月2日〜7月21日)
山田卓司氏、戸塚恵子氏、諸星昭弘氏、東京都立杉並工業高校 模型工作部、阪本衛氏、阪本憲二氏の作品に、トミーテックの製品なども展示されているそうだ。
昨日、山田卓司氏(以降は親愛を込めて山田さんと表記させてもらいます)の作品を常設展示している浜松ジオラマファクトリーへ企画打合せに行ったら、山田さんが「あ、そうそう」とアトリエに何かを取りに行き、戻って来ると手に持った図録を渡してくれながら「これ持ってって」と。
そう、お土産に1冊いただいてしまった。
いやぁ、ありがたいありがたい。
会期が7月までなので、その間に1回は出張上京に合わせて会場へ行けるだろうと思っているが、これを見てしまったら出張がなくても絶対に行かなきゃと(笑)
このスナップショットで製作している新作が今回は会場に初出展されているそうだ。
これこそが、僕が山田さんに出会ってすぐに「どうしてももう1度見たい情景」だと話した場所を再現してくださったものだ。
浜松市を横断している東海道線が高架になる前は繁華街以北と以南が分断されていて、駅南に住んでいた僕らにとって、その境界線を超えることができるのは「平田(なめだ)」の大きな踏切と、浜松のシンボルだった百貨店の松菱の横にあった赤煉瓦のトンネルの2つだった。
ひっきりなしに行き交う東海道線と貨物電車によって、特にラッシュ時にはなかなか開かない踏切が、繁華街への期待感を一層高めてくれたものだった。
日曜日に家族で「まち」へ出掛ける嬉しさはTDRやUSJや海外旅行なんかへ行くのより遥かに大きかった。
もっともその当時はTDRも何もなかったから例えにはならないけど、でもきっと、もしもTDRがあっても同じ気持ちだっただろう。
そんなわくわくする気持ちを、なかなか開かない踏切の手前で長い長い貨物列車が行き過ぎるのを待つあの気持ち。
それはあの頃の家族の幸せだとか思い出だとかに直結していて、これまた「もしも」の話しだけど、もしも時間旅行ができるなら、僕は真っ先にあの頃の家族4人で「日曜日のまちへ」出掛ける、その時の「平田(なめだ)の踏切」へ行きたいと強く思っている。
それがこの作品なのだ。
だからこそ、この作品を僕はなんとしてもこの目で見に行かなくてはならないのだ。
ジオラマ作品は「ドラマ作品」だ。
写真ではなく、360度、四方八方、上下左右、斜め上、斜め下、真上から隈無く見て自分勝手なストーリーを自由に想像してよい作品なのだ。
この図録の作家紹介のところで山田さんの作品について書いてあった本図録の監修者で、さかつうギャラリー代表の阪本健司氏の文章を引用させていただく。
(前文省略〜要約:山田氏はオールジャンル、オールマイティなプロ中のプロ作家であるが)その中でも人形の造形は出色で今回出品のすべての作品において人形は中心的な役割を果たしている。
その豊かな表情と動作はまるで山田卓司映画監督の指示のもとに演技する役者のようだ。
まったく同感だ。
もちろん他の作家たちの作品も図録だけではなく、やはり直に見て楽しませていただきたい。
東京 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 開館10周年企画展
「情景作家 - 昭和のミニチュア」
公益財団法人 東日本鉄道文化財団 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室
展覧会情報 [Go URL]→ http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/
by thin-p | 2013-04-27 18:29