「お世話になりました」という台湾の作家によるジオラマ
この大会は、全国から応募のあったジオラマ(情景模型)作品のうち、一次審査を通過したものを浜松市の会場に展示して、一般来場者とプロ作家審査員の投票でグランプリと各賞を決める、世界で唯一のジオラマコンテスト大会だ。
応募者の年齢性別も作風も年々幅が広がり、その多彩さとクオリティはたくさんの感動を与えてもらえる。
SNSのおかげで海外の愛好者にも情報が伝わるようになって、昨年と今年は台湾からの応募作品もあった。
今年はその台湾からの作品が一般来場者投票も審査員投票も1位で、従って総合優勝としてグランプリを獲得した。
応募時に提出してもらった作品説明には、作者がFacebookで世話になった鰻屋の店主に感謝を伝えたくて、だけどお礼はいつも辞されるから、画像検索の写真を元に、その店をジオラマ作品で再現して大会に応募することで恩返しになればと書かれていた。
ジオラマを作り始めてまだ日は浅いそうで、寝る間を惜しんで作り上げたと語っていた。
FBのフィギュアグループで知り合い、お世話になった69才のおじいさんの店を、googleの写真を見ながら想像し、ジオラマにすることで忠実に再現しました。
おじいさんは私が礼を返すのをいつも断るため、代わりにこの作品を見て頂けたら喜んで貰えるかと思い、制作しました。この作品は、私からおじいさんへの、【感謝の気持ち】です。(応募書類より引用)
写真は店の表からのものだけど、裏側は厨房や客席、座敷などが驚くほど緻密に丁寧に再現されていて感動的ですらある。
その店は名古屋の店だということを知り、今日、出かけたついでに行ってみた。
便利な世の中なので科学の力ですぐに見つかった。
いま浜松ジオラマファクトリーで展示されている作品の実物がそこに建っていた。
玄関に張り紙があった。
近づいてみたら、店主が急病でしばらくのあいだ休業すると書かれていた。
日付は 8月22日だった。
名古屋市北区「うなぎの芝金中店」のご主人の病気をが治り、お店も再開して、そして鄭さんの心が届くことを心から願う。
*浜松ジオラマグランプリ事務局長としては今回に限らず、出展作品と作者について個別に言及することは原則として控えている。だから、これはあくまで個人として書いた。
by thin-p | 2016-09-04 22:12 | 雑記帳