今年さいごの弘法さん
名古屋の覚王山にある日泰寺とその参道(門前の商店街)は毎月21日に月縁日と市が立つ。
うちの事務所近所の神社は毎月 1 と 6 の日に朝市が開かれる。
だから 21日は両方をはしごするたくさんの年配者が大通りも路地も野菜や乾物や魚やいろんなものを袋やカートでぞろぞろ持ち歩き、お互いの元気を確かめ合いながらあちこちで寄り合って喋ったり笑ったりしている。
覚王山は2つある最寄駅の片方なので、午前中にでかけた帰りに、今年さいごだと思ってお参りに寄ったら、快晴であたたかい日になったこともあり、いつにも増してたくさんの人出で参道も境内もすらすらと歩けず、おもしろいシーンがあちこちにあったから尚更時間がかかって、なんだかんだで参道入口を入って帰るまでに小一時間ほどかかってしまった。
と、いうことを昼間に Facebookにポストした。
ここでは 1エントリー15枚の写真を貼ることができるので、厳選?したシーンをシェアしよう。
まず全体はこんな感じ。
日泰寺の仁王門のところから見た参道。Facebookにポストしたものとはちょっと別なやつ。
本堂から境内を見たところ。
これは毎年元日未明に配信する「ゆく年くる年Podcast」で貼る写真と同じアングル。
参道の、いまは閉まっているコインランドリー前の自販機。
参道で毎回出店している きのこ屋。
バッキバキの硬派で、いっつも妙なネクタイを締めていて、折りたたみのガラケーは黄金ピッカピカで、いかにも国粋主義のペイトリオッツな風体のオヤジさんとその一家がやっている。
このオヤジさんの口上が実に素晴らしい。
何が素晴らしいって、来る人来る人にほとんど一字一句変わらない、且つ ほぼ同じ抑揚と同じところで芝居掛かった感じの、もはやパフォーマンスに近い。
平気でタバコくわえて接客するし、暇になると座り込んでペットボトルのお茶を、あたかも酒のようにあおって「そのうち、国産のしいたけは食えなくなるわ。全部中国からの輸入になるわ。」とクダを巻く(ように見える・笑)。
三田佳子と伍代夏子のファンらしい(笑)
ダンボールに手書きで「日本応援」とか「日本きのこ学会会長」とか「きのこアドバイザー」とか書かれているけど、真偽のほどは謎(ググってみたけど・笑)
それでも常連もご新規も、毎回たくさんの人が干し椎茸を買い求める。
昔の縁日に出ていた見世物小屋とか胡散臭いバッグ屋とかテキヤとか、そういう匂いがぷんぷんしていて、ちょっと怖そうな感じもあって、結局のところ、縁日は堅気のクリーンなものばかりじゃつまらないっていうことなんだよな。
境内の中も参道も、半分くらいそういう感じ。
だから人が集まって賑わって面白いこともいろいろあって、知らない人同士も声をかけあったりすぐに仲良くなったりして、縁日が終わればあっさりそれぞれの日常に戻って行く、それがいいんだろうな。
てなことをあらためて思ったり。
日泰寺本堂横に立つ 時のタイ国々王チュラロンコン陛下像。(日泰寺に興味ある人はコチラ)
日泰寺門前にある覚王山八十八ヶ所霊場では、毎回ふるまいがあって、今回は白玉ぜんざいだった。
御堂でお参りしたらボランティアのおばさまたちに促されて椅子に座ると熱くて美味いぜんざいとお茶を出してくれたので ありがたくいただくと、快活そうなおばさまが、春も夏も来たよね?と聞いて来た。
春はおでんで、夏は、なんだっけ?みたいなことを言われて、適当な相槌を打ちながらぜんざいを食っていたら、来年もまた来なよ、と色目を使われた(笑)
露店は魚、野菜、乾物、干物、服飾雑貨、飲食が多数出ているが、境内には毎回、この毛糸屋がいる。
広い場所にたくさんの毛糸を、まさに「ばー!」という感じで広げてあって、今日みたいな快晴の日はそれを見るだけで暖かくなる。
うまそうなものがあちこちにあるからついつい足を止めてしまう。
これ、すごいでしょ? よく見てね(笑) 栗入りあんこの大判焼きなんだけどさ。ね?(笑2)
季節的にも良い魚がいろいろ安くて、夕方からの予定がなければあれこれちょっとずつ値切ったりしながら買ってきて料理をしたいところだった。
で、今回いちばんおもしろかったのがこちら。「路上芸人えぐれささしま」
派手なおばちゃんがウクレレを鳴らしながら歌っていて、タータンチェックのシャツを着たベイ・シティ・ローラーズのメンバー2人(笑)がビールと串カツを食べながらそれを見ていた。
おばちゃんは、喜納昌吉の花とか、坂本九とか、なんかいろいろ大きな声で替え歌にしてがなっていたが、ベイ・シティ・ローラーズの二人は外人だからか、歌がわからないみたいで、おばちゃんはいろんな歌を少しずつ歌っては、これ、知ってる?みたいなやりとりを延々を続けていた。
もー、おかしくておもしろくて、しばらく観察していたら、正月の歌にするとか言い出して、これまらいろいろ歌ったが、ローラーズのメンバーの反応は鈍い。
そのうち、「お正月を写そう!」とか歌い出して、ほんとにおもしろかった。
境内の露天で毎回出店している干し芋と干し柿と落花生の店で金時芋の干し芋(これがうまい)をオマケしてもらって買い、湯のみも爺さんがまけてくれたから買い、安くしてくれた握り寿司を買い、事務所へ戻って仕事して、一区切りついたところで「路上芸人えぐれささしま」を思い出してググったら このブログエントリーがヒットした。
還暦の路上ウクレレ歌手 ◇ホームレスの人々に笑いを、名古屋でライブ7年◇えぐれ笹島
(2009.12.30 の 日本経済新聞記事をそのままコピペしただけのブログ)
これを読んで不覚にも泣いてしまった。
やっぱ、人間、明るく朗らかに、生き生きとして勇ましく生きていくこと、それがいちばん大事なんだよ。ね。
境内を一回りしている間に、えぐれんささしまさんは姿を消していた。
新しい年の21日にもまた来てくれたらいいな。
そしたら、その時はちゃんと投げ銭して楽しませてもらおうと思う。
現場からは以上です、編集長。
*覚王山商店街ウェブサイト*
by thin-p | 2016-12-21 23:36 | 写真散歩