グレートジャーニー [1] の記録:後編
前編の公開から1週間、その間にも我が写真散歩大好き隊は、折からのガソリンや小麦製品の度重なる高騰、バター不足などによる生活圧迫という事態に、屁理屈や文句を言うだけだったり、ただ手をこまねいて泣いているだけでは何にも解決しないとばかりに、とりあえず地球温暖化防止と省エネルギーに少しでも役に立てたらとの願いを込めて、まずは身近な省エネとエコライフを念頭に(小うそ)今日もあちらこちらを歩いておりまして、あらたな冒険も続々完了していますので、この「第1回・名古屋横断ウルトラグレードジャーニー」シリーズはすでに過去のものになりつつあります。
が、これを過去のものにしてしまってはいけない!という多くのGJファンのご期待に応えるべく、鉄が冷えて固まってしまう前に後半のレポートをかき揚げ、桜えびとタマネギの甘みが絶妙だよねえ〜って、書き上げだよ、ああうぜえ(泣)とにかく、後編をさくさくっと書き上げて、このエピソードを完結させて次だ次!みたいな、そんな雨の月曜日、カーペンターズを聴きながら、最後まで仕上げて見せまする!母上様〜!!(泣)
(*もう1度説明しよう〜 GJ とは グレートジャーニーの略である)
初めての方と、また前編から読み直したい方はこちらからどうぞ --> GJ [1] 前編
では、まずは今回もルートの確認から。後編の旅路は、この地図の通りであります。
名古屋駅から左へ伸びている黄緑色の線が前回からの続きの「往路」で、そこから折り返し右の方へ伸びているピンク色のラインが「復路」です。ちなみにゴロスケホーホーと鳴くのは「フクロウ」です。
OK、じゃいっしょに進んで行こう。
名鉄百貨店の屋上で奇蹟の大復活を果たした僕の体力は、しかし、あともうちょっとなら、という、多少心細いニュアンスを残しつつ、それでもそこから更に西へと歩み出した。
まず我々が潜入していったのが、名古屋駅に最も近い商店街「駅西銀座」である。前編から読んでくれた人はおわかりだと思うが、我々って言いつつ、一人旅であり、途中の会話も全部一人です。かしこ。
文字通り名古屋駅を西に出たらすぐのところに、このゲートがあり、人々はまずここで入国審査と手荷物チェックを受ける(うそ)
世界中の高級ブランドのほとんどが出店し、多くの観光客、買い物客、出張や休日でも関係なく働くビジネスマンとタクシーが溢れかえり、それだけで目眩がしそうな名古屋の表玄関と、見るからにきっと怪しいことしてるに違いないいろんな国や年齢性別の連中、いろんなヲタの人々、受験生たち、送迎や観光のバスがこれまた溢れている駅の裏玄関、そんな日曜日の名古屋駅からわずか200mほどしか離れていないところにこの商店街があるなんて、写真だけ見せても誰も信じないと思う。
前編の最後に貼った写真、あれはこのゲートをくぐったとこだから。人もクルマもほとんどいねー!店もほとんどやってねー!TVもねーラジオもねー!ってそこまではいってない(笑)
あ、人がいた(笑)
どっかから帰ってきた「ぽたぽた焼き屋」のおばあちゃん、みたいなおばあちゃん。
なんとなく、そんな感じ。
ここを歩いてるのは地元の人か、馴染みの店がある人か、僕くらいなもんです。
けど、ここは「新幹線駅前商店街」なのです。
まさに絶滅の危機?と言うと大袈裟かもだけど、最近特に、こういう場所をなくしちゃいかんとわしゃ切に思うとです。
床屋って絵になるなあと、最近思うチョります。たいてい撮っただけでなんとなくいい感じの写真になります。そして、床屋ってなぜだか、日曜日の昼下がりを連想しない?
僕だけか?(たぶんそう)けど、気持ち良さそうだなあ。
ひげ剃り中の床屋と、じいさんとぼくと車庫のクルマが写り込んでて、トリコロールと共に、ちょっと気に入ってる1枚です(笑)
商店街の西の外れまで来まして、広い通りを渡ったところに、実にレトロなスーパーがありました。
「丸一ストアー」。
中には入ってないけど、いい感じであります。
同じ店がさっき通ってきた円頓寺商店街の中にもあったっけな。
・・・た、た、た、たいちょー!たいへんであります!喫茶店がー!、、、!!!
ぶっこわれてます。いつからこんなんなんでしょう。通りに面した場所なのに廃墟です。
実にいい感じの凝った作りの建物なのに、さりげなくかっこいいし、だけど、それにしても見事な壊れっぷりです。
・・・た、た、た、たいちょー! ん?こんどはなんなのだ?
こんな街中にモアイがー!! しかも、音楽を聴いてるでありますー!、、、!!!
な〜に〜!? わ、ほんとだ(笑)店名のトヨビリって、なんの略なんだろう?
まったくこのあたりはなぞだらけだな。
我々の士気はかなり上がった。100円自販機の冷たいお茶をごくりを飲み干し、せっかくここまで来たんだと、もうちょっと奥地へ行ってみることにした。
この時点では、まだ歩けそうな気がしていたし、あとちょっと行けば地下鉄の駅があるのを知っていたから、なんとなく気が大きくなっていたのかもしれない。
と、その時・・・!
おお!傾いてる建物はピサだけじゃないぞ!! ほら、こんなに傾いて(爆)
諸君!ちょっと待て! よく見ろ!・・・「旅館」・・・ぜったいやだ(爆)
今も旅館業を営んでいるのか、それとも、看板を使って壁にしたのか、それはわからない。要するに謎の建物だということだ。
古本屋であります。きっと昔は日曜日のこの時間ともなれば、子供がたくさん自転車で集まってきていただろうに。とりあえずちょっとだけ立ち寄ってみました。ああ、安い紙とカビっぽい匂い、、まさに古本屋の香りだ(笑)
さて、ええと、たしかこのへんだったよな〜、、、 あ!あった!
これぞ伝説の成人映画専門館「中村映劇」だー!!
今も名古屋市内にはこういう映画館が3館か4館あって、たいていじいさんしかいない。
それもそのはず、一般1200円が敬老優待割引で700円なのだ。じいさんたちはカッコつける必要もないしね。いいなあ、じいさんは(爆)
話しがそれるけど、僕のポルノ映画@劇場初体験は高校2年の時だった。
学校でテストだったか部活の仕事だったか、その帰りに友だちと3人で行ったんだよ。
前々から行くぞ!と3人で意を決していて、なんでその日になったかは忘れたけど、3人とも学生服着てて(爆)今思えば、どうして入れてくれたんだかわかんないよね(笑)
3本立てで確か学割で500円だったかな?って、生徒手帳出しちゃったのかよ!はい出しました(爆)おもしろかったなあ。ポルノ映画とかピンク映画ってバカにしちゃだめだって、その時まじで思った。今のAVみたいに適当じゃないもん。だって映画だもん。
その時も日曜日のちょうどこんな時間だったけど、映画館の中は満員だったもんな。
と、ちょっとあの頃のことを思い出させてくれたポルノ映画館でありました(笑)
余談ですが、名古屋へ来てからはポルノ映画館には1度も行ってません。1回くらい行っときゃよかったかな(笑)え?今からでも遅くない?じゃ、敬老割引使える歳になったら行ってみます(笑)
さあ、いよいよかなりディープなエリアに潜入だぞ。覚悟はいいか。よし、行くぞ!
大正12年、名古屋の中村遊郭は営業を開始したそうだ。吉原を上回る3万坪のエリアに139軒の店がひしめき、約2000人の娼妓がいたらしい。
戦後は中村遊郭から名楽園に名前を変えた赤線の町として栄え、その名残もあってか、現在はソープ街になっているのが、実はこのエリアなのであります。
だけど、名古屋の繁華街、錦や女子大小路や池田公園界隈に比べたら、いまやすっかり静かな下町であり、子どもも大人も老人も若者たちも普通に暮らす商店街です。このあたりに来ると、ユニーなんかもあったりして、ちょっと賑やかです。
え〜と、、うそです(爆)
いや、やってる店とやってない店が混在してます。やってなさそうでちゃんとやってる店もたくさんあります(笑)
ピチカートファイブっぽい人が着てるのが 1200円です(爆)帽子とのコーディネートにセンスを感じますね(笑)
彼女はこの店のショーウインドウで、道行く人に今日も怪しく微笑みかけています。
そう、でね、この町にはソープランドはたくさんあるけど、(目立つところにないだけであるのかもしれないけど)他の風俗はそんなになく、なぜだか銭湯がたくさんあります。
大学生の頃は風呂なしアパートだったからいつも銭湯行ってました。小さい頃からでかい風呂好きだったから全然苦じゃなかったんだけど、たいてい23時頃には閉まっちゃうから夏のライブや遊んだりして遅く帰った時はけっこう辛かったなあ(遠い目)
僕が通ってた銭湯は、2つとも、とっくに無くなっちゃいました。
それにしてもこの辺の銭湯はどこもでっかい。きっと昔は繁盛してたんだろうな。どの銭湯もかなり贅沢な造りです。そう思って見渡すと、いたるところに和風アール・デコ調のデザインが見受けられます。おもしろい。
銭湯以外にも、文化財として残すべきだと思うようなものや、和洋折衷、いろんな様式が見事にブレンドされた素晴らしいデザインの建物がたくさんあります。昭和村や明治村、大正村よりも、ある意味リアルなので、ここにいるだけで、なんとなく時の流れがすう~っと沁みてくるような感じさえします。
地下鉄東山線・中村日赤駅の真上にある名古屋第一赤十字病院。合成じゃないよ(笑)
向こう側が新病棟、手前側が従来の病棟。現在大改装工事中であり、来年中には古い建物がすべてなくなり、最新医療設備が整った大病院に生まれ変わります。
(名古屋第一赤十字病院・全面改装のご案内)
病院だから耐震等の対策が必要なのは理解できるけど、でも、こういう建物が無くなって行くのは惜しいし寂しいね。
ここでふと我に返った。 やべえ、疲れてる、、、(爆)腰が痛くなって来た(泣)
どうしよう???別に誰かに宣言して始めたことじゃないし、一人だし、何一つ無理する必要なんかないわけで、腹減ったし、こっから地下鉄乗れば、バスに乗り継いだって1時間後には家にいて、シャワー浴びて寝ッ転がったりビール飲んだりできるわけで...
あ、た、隊長? どちらへ? そっちは今来た道ですよ! 戻るのですか?
中途半端に歩いたら、次の地下鉄の駅は名駅になっちゃいますよ〜、隊長!!
と、ゆーわけで、理由も意味もなく、僕は再び名駅に向かって歩き出してしまった。
来た時に通らなかった路地に入ったりしながら。
繰り返しになるけど、ここは名駅の近くである。でも、クルマが通る道の脇に、こういう家がたくさんあって、取り壊す予定だったり、家主がいなかったりで、事故があっちゃいけないからって、近づかないように貼紙がしてあったりする。
残してどうなるものでもないだろうけど、四角い建物ばっかになっちゃうのは、やっぱり味気ないなあと思う。これらもあと1、2年のうちになくなるのだろう。
いやあ、しかし、冷たいお茶ってのは、どうしてこんなにうまいんだろう。そして、それを喉に流し込むだけで、どうしてまた歩けるようになるのだろう。
何度もどっかで何か食べようって思ったんだけど、あとで思うと、それをせずにお茶だけにしといたのがよかったかもしれない。
それと、写真撮ったり、いろんな発見や出会いや感動や感慨があったから、疲れが徐々に大きくなっていっても、常に無意識に目線を地面に向けず前や上を見ていたからかもしれない。ってか、この辺までくると、そんなこと、もうどうでもよくなってきてた。
再び名駅に近づいて来た。
シネマスコーレである。1983年に出来た映画館で、日本〜アジア映画、インディーズを中心に、シネコンあたりじゃ見れないような映画がかかる劇場だ。
韓流ブームが来てからは、来場者の層が大きく変わった。
このあたりには絶対寄り付かなかったような中年女性がものすごく増えたから。
店の周りには韓国、中国、アジアのいろんな店や飲食店も増え、なかなかエスニックな雰囲気の路地になっていておもしろい。チケットを買ってる人、初めて来たのか、何かを躊躇している人、駆け込んでくるスタッフ、タバコすってるじいさん、、、また繰り返すけど、日曜日の名駅すぐ近くの光景だ。
駅の表側へ出た。
前編の後半にも貼ったけど、スパイラルタワーは昼も夜も、写真を撮りたくなる何かがあります。なぜか惹かれます。なんでだろ?やっぱ怪獣っぽいからかな?(笑)最近は龍に見えてしょうがない(笑2)新しいビルに映ったスパイラルタワーってテーマで写真撮るのもおもしろいかもね?(あ、言っちゃった・爆)
また歩き出したら足の裏が痛くなった。どうやら足の裏の指の付け根辺りにマメができたようだ。腰だけじゃなく、それもだんだん痛くなってきた。
どうする?まだ名駅だぜ。地下鉄乗っちゃうなら乗っちゃおうぜ。
ウ〜ン、、、あ、信号が変わった。 歩き出しちゃった...(笑)
家に帰り着くまではこの旅は続く。だけど写真散歩としてはここで終わった。
疲れちゃったってのもあるんだけど、ここから先は普通の街と普通の通りだ。
何も五感にひっかからなくなっちゃった。だからあとはもう、行けるとこまで歩くっていう、目的が変わってしまっていた。
フラワーフェスティバル開催中の堀川・納屋橋。つぶれちゃったイタリア村のゴンドラが来場者の笑顔を乗せて、ゆっくりと川面を走っていた。晴れてたせいか、川が藻でだいぶ緑色になっちゃってたので、あえて BWで。
ここを離れて栄エリアに入る頃に、妻に SOSメールを送った。娘のダンスのレッスンが終わる頃の時間だったからだ。別に地下鉄乗ってバスに乗っても帰れたんだけど、千種駅あたりで合流することにしておけば、それを目標にして、あともうちょっとだけがんばって歩けるかな?っていう気がしてさ。
ここから千種まで、僕はまったく写真を撮ってません。iPodで落語聞きながら、ただ黙々と歩きました。足裏と腰がかなりきてます。信号で止まるとず〜んと来ます。けど、歩き出すとなんとかなりまして、なんなんだ僕のからだは(笑)
千種駅に到着して、妻と娘が乗るクルマを待つ間、僕は遂に物を食いました(笑)
駅前の立食いそば屋の250円のもりそばです。
どっかの老舗の手打ちの蕎麦もなんのその!くー!蕎麦さいこー!!と、IWGPのマコっちゃんみたいな雄叫びをあげそうになりながら、2口か3口で平らげちゃいました。
ビールじゃなく、もりそばっていうのがいいでしょ(笑)
さて、長らくお付き合いいただきました GJ [1] 前編後編、いかがでしたでしょうか。
バカやってんなあと笑ってもらえたら幸いです(笑)
へぇ、名古屋っておもしろいんだねって思ってもらえたり、自分も(歩いてじゃなくても)そこへ行ってみようかな?って思ってもらえたら、それはとても嬉しいです。
少しでも人が集まり利用する場所なら、そう簡単に無くなったりしないだろうから。
じゃ、妻のクルマを待っているベンチで撮った最後の写真を貼って、僕のグレートジャーニー[1]は、これで完結です。ここまで読んでくれてどうもありがとう。次回をまたお楽しみに〜(笑)
*このエントリーのトップに貼った赤いベンチはこれです。つまりこの旅の終点です。
奥の細道で芭蕉がむすびの地に選んだ水の町、大垣にあやかって、噴水、みたいな(笑)
by thin-p | 2008-06-03 01:23 | 写真散歩