粋 ←→ 無粋、野暮

思いめぐらせたこと、考え、主義、主張などは SNS ではなく、誰かに直に、か、ブログとかポッドキャストとかで表出することにしている。

SNSで「今日こう言う奴を見て腹たった」とか「こういうことをする奴は絶対許せない」などと“走り書き”しているのを見る度に、それをここで書いたところでどうにもなるまいと思うし、そんなのはこっちの目に触れないところでやっといてくれ、と思うからだ。

ブログと SNS と 何がどう違うのかと問われれば、それは説明できるけど今日はしない。

さて、この記事のタイトルについて。

僕のSNSにつながっている人はご存知だと思うが、昨日、若い頃から時々寄らせてもらっていた店が暖簾をおろした。

閉店を惜しむ常連や、近隣の人たちや、その店の味や人や空間や内外装や皿の一つなどのいろんなものに思い入れとか思い出があったりする人が懐かしんで駆けつけたり、仲間同士や家族で集ったり、しかし店の人たちのうまい客さばきやコントロールによって、いつもとほとんど変わらない雰囲気で淡々と運営されていた。

ただ、普段と違うのは、外には常に10数人が並んでいるから、追加オーダーはなしとか、普段はやっている持ち帰りはなしとか、並んでいる時には整理券の代わり番号と人数をメモした紙を配布されたりということはあって、幸い外にいても寒くも暑くもなく、並んでいる間はその店と店の前の通りの景色を見ながら、そう、懐かしい歌を聞いて当時のいろいろなことを思い出すのと同じような感覚を楽しむことができた。

やっぱり良い店とはそうやって締め括りができるのだと思い、人も同じだと思った。
良い人生とはそういうことなのだろう。

人気飲食店の店じまいはニュースでありイベントだ。
長く愛された店であればあるほどその話題性は大きい。
俳優やミュージシャンやタレント、アーティストなんかの他界も同様。

だから、おそらく今まで大した興味も思い入れも無かった連中もそこに属していようとして初めて訪れた客もいて、それは並んでいる間の雰囲気や席に通されてから初めて見るであろうメニューからオーダーを組み立てようとしている様子から窺い知れた。

一人だった僕が案内されたのは、まさにそんなカップルとの相席だった。

瓶ビールと冷奴とじゃこおろしと串カツをオーダーして、一眼レフを持った彼女は写真を撮りながら、彼も仕事を切り上げて来たことでやれやれな感じでとりあえずビールをグラスに注ぎ、すぐ横のテーブルについた家族づれが追加オーダーは受けられないと言われたそばから追加オーダーをどうするかを考えていた。

いろんな思い出や思い入れがある僕ですら、さっさとオーダーしてさっさと食べ終え、さっさと勘定してもらったら、店の人たちと店主にごちそうさまを告げてさっさと店を出て、腹をすかせて並んで待っている次の人が早く席に着けるようにしてあげようと思っているのに、その店になんの思い入れも思い出も共有すべきことなど何一つないカップルが、話題に乗るためだけにそこに居て、それが果たせた瞬間に料理も接客も雰囲気もどうでもよくなっていて、居酒屋的に好きなものをオーダーして、カップルと言うより一人が二人いる感じで自由に楽しんでいるのを半ば呆れつつ傍観しながら、いつの間にか心の中でその二人を見下している自分もどうかと思い、テーブルの半分に結界を引き、そこからは孤独のグルメを楽しんだ。

以前、通っていたバーの閉店の日にマスターが話していたのは、SNSのおかげで、今まで店を知らなかった人たちが訪れてくれるのはありがたかったけれど、そういう連中はスタンプラリーで遊んでいるかのように、とりあえずやって来て写真を(勝手に)撮って公開したらクリアだから二度と来ないのがほとんどで、常連のケアが出来なくなってしまったり、ヘタをすると(好き勝手に)批評までされてロクなことがないということだった。

自分だけはそういう連中とは違う。
自分は SNS の使い方をわきまえているつもりだ。

などと思っていても、大局的に見たら大同小異かあるいは同じようなものだと自戒する。

昨晩、僕と相席だったカップルに、今日は君らのような一見が来て良い日ではなく、自分勝手に自由にオーダーして、自分の時間で席を占拠して良い日ではないのだ、と言える立場でもないし、そう思ったことをあとからこうして書き残すのも違うなと思ったけれど、SNSが良くも悪くも飲食店や接客業に様々な影響を及ぼしているのは確かなことで、最近いろいろ思うところもあったので、敢えて書き残しておこうと思う。

客と客が使う SNS の良し悪しもあるけど、店や店の人間が発信する SNS にも良し悪しがあって、それによってその店から足が遠のいたということもある、ということも書き添えておこう。

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さて、このタイトルについて。

そのまんまである。いい歳なので今いちばん意識するのは「粋」かどうかなのである。

20代はいろいろ経験していけばよいと思うが、30代以上の無粋や野暮はカッコ悪い。



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by thin-p | 2017-06-01 19:33 | 雑記帳 | Comments(0)